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【70歳までの就業確保、企業に努力義務】 70歳まで働くことができるよう、就業機会の確保を企業の努力義務とする、改正高年齢者雇用安定法が4月1日から施行されました。 総務省の調査によると、65歳以上の働く高齢者は増え続けており、昨年は906万人とこれまでで最も多くなり、働く人全体に占める割合は13.6%に上ります。 現在は希望する人全員を65歳まで雇用することが企業に義務付けられていますが、70歳まで働き続けることができるよう就業機会の確保を努力義務とする内容になっています。具体的には、定年の廃止や70歳までの定年延長、再雇用制度の導入など企業が労働者として雇用する方法の他に、起業する人やフリーランスとして働く人と業務委託契約を結ぶ、NPOなどの社会貢献事業に従事できるようにすることの5つの働き方から企業と従業員が話し合い、決めるとしています。 このうち、業務委託契約と社会貢献事業については労働基準法等が適用されず、雇用保険の失業給付が支払われない等も想定されます。このため、過半数組合などとの同意を事前に必要としています。また、厚生労働省はガイドラインを策定し、不安定な働き方にならないよう求めています。 昨年内閣府が公表した「高齢者白書」によると、60歳以上で仕事をしている人に何歳まで働きたいかを尋ねたところ、「働けるうちはいつまでも」が36.7%と最も多く、次いで「70歳くらいまで」が23.4%、「75歳くらいまで」が19.3%となっています。 70歳までの就業機会を確保することを企業の努力義務とした法律の施行について、厚生労働省は働く意欲がある高齢者がその能力を十分に発揮できるよう目指すとしています。 少子化が進むなか、働く高齢者が増えれば年金などの社会保障を支える人が増えることにもつながります。また、技術や経験を若手従業員に伝えていくためにも経験を積んだ高齢者の雇用を進める企業が多いと見られています。 一方で懸念される点もあります。 70歳までの就業機会の確保については、業務委託契約によって働くことも想定されています。この場合、雇用契約ではないため、労働基準法などが適用されず、最低賃金以下の額でも法律違反とならない等の可能性があります。 また、65歳以上の高齢者が働く場合は、事故の防止や健康に配慮した職場環境の整備が求められます。厚生労働省によると、2020年1年間に労働災害で亡くなったり、休業4日以上のケガをしたりした人のうち、60歳以上の割合は26.6%に上り、年々増える傾向にあります。 働く意欲が高い高齢者も多いとされるなか、安心して働き続けることができる環境整備が課題となっています。 上に戻る |